はっぴばーすでい とぅーゆー

おめでとう

おめでとう

おめでとう???


その日は俺が世界で一番嫌いな日。



to me


俺は生まれた瞬間から獄寺家の跡取り息子になった。
猫の仔が生まれたときから猫であるのと同じように。
望むわけでもなく、俺は“獄寺隼人”になった。


気持ちの悪い暑のな中、自身の汗で湿ったベットに横たわり
俺はその日を迎えようとしていた。
そしてベットのわきのテーブルには
小さなチョコレートケーキがひとつ。

『ねェ隼人。』


『どうせ誕生日パーティ出ないつもりでしょ?』


『と思ってケーキ作ったの。』


『食べてよ。ここに置いとくわ。』



ああ。
そんなこと言って姉貴が置いてったんだっけ。
あいもかわらず自分勝手な姉貴だ。
でもそんなことをいっても彼女が嫌いというわけではない。
実は彼女だけが解っているから。


「これ、食えるのかよ。」

ため息混じりにケーキに手を伸ばす。
姉貴が作る食べ物は油断ならない。

「…………なんとか食えそうじゃん。」

めずらしい。
心境の変化か??
それとも知らず知らずのうちに彼女の腕が上達したのか??









なんとなしにフォークですくって口に入れる。
やんわりと甘い香りが口に広がっていく。
ちょっと甘すぎるんじゃネエの?
そう思いながらも手を止めることなく食べ続ける。

『誕生日。』


なんでそんなくだらないモノがあるんだろう。
おめでとう。
おめでとう。
おめでとう。
なにがおめでたい???

それは世界で何よりも嫌いな“俺”が生まれ落ちた日。

そんな日を俺にどうやって祝えという???








俺は意味のない人間だ。

その証拠に。ほら。
誰も俺を必要としてくれないじゃないか。
誰も本当の俺を見てくれないじゃないか。
誰も決まって指さして言う。

『悪童め。』



悪童。




悪童だって?

俺にぴったりの名前じゃねェか??


それがバカで無意味な俺のナマエ。









生まれてこなけりゃよかった。







悪童スモーキンボム。


それが俺のナマエ。






その日俺は獄寺家を出た。





end






















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